私の彫刻は概念的な歴史主義の形体論から逸脱し、独自の方法で彫刻の世界を創り出しています。
それは『素材』と『形』と『空間』と云う基本的な造形感覚に裏打ちされた
『自然』と『構造』との関係性の中で育成されています。
私にとって、金属の板と云う存在は一見単調な様に見えますが、表と裏が同時に存在する事のできる特別な素材であります。
平面の板の表と裏による形の変化に“色彩と光と影”が加わる事でより複雑な表情を生みだし、面の構成により無限の表情を作り出す事の出来る有効な素材でもあります。
又、金属と云う素材は「酸化」と言う宿命を負った素材であると共に「再生」
されると云う神秘的な物でもあります。
私にとって色彩は潜在的に選択された色で、「素材と色彩」は意識下の要求であり存在化への表現の道筋であります。
触発的な色は作品に複雑な表情を創り出し、繊細な光と影を取り込みながらより流動的で有機的な表情を作り出しています。
社会的にも個人的にも遭遇する出来事の中から“今を生きる””今を感じる“
事をテーマに制作。